こんにちはnicoです。
2015年末に、広島東洋カープからポスティングシステムを利用して、MLBアメリカ・メジャーリーグの「ロサンゼルス・ドジャース」に移籍したマエケンこと前田健太投手。
ドジャース入団時に交わされた契約が、MLBでも異例と言える内容だった為に、選手会も含めて賛否両論が有った事はまだ記憶に新しいですね。
そんな前田健太投手ですが、ドジャース移籍2年目となった2017年の今シーズン、初の「DL(故障者リスト)」入りとなりました。
この措置は、今年からメジャーリーグで取り入れられた「新制度」の影響が有るようで、その為に、昨シーズンよりも年俸収入が減りそうな気配となっています。
今回はその辺りについてチェックしてみたいと思います。
前田健太投手の契約内容
2015年末にポスティングシステムの制度を利用して、広島東洋カープからロサンゼルス・ドジャースに移籍した前田健太投手。
当初は5年契約で総額8000万ドル(約90億円)で、1年あたり1600万ドル(約18億円)程度の契約になるのでは?と予想されていました。
しかし、メディカルチェックと呼ばれる健康診断で、右肘に「イレギュラーな部分」が見つかった事から、近い将来の「故障」を見込まれて買い叩かれてしまいました。
それでもメジャー移籍を望んだ前田健太投手は、その条件を了承して契約を交わし、ドジャース移籍を果たしました。
その契約内容と言うのは以下の通り、「基本契約」と「出来高契約」の2種類に別れ、その合計が毎年の年俸収入となります。
【基本契約】
8年契約で2500万ドル(約28億2500万円)
《※早期契約ボーナスの100万ドルを含む》
1年あたり312万5000ドル(約3億5300万円)
【出来高契約】
☆投球回数(イニングピッチ)
90回(イニング)を投げた時点から200回まで、投球回が10回増えるごとに25万ドル(約2800万円)が加算されていく。
満額で300万ドル(約3億4000万円)
☆先発回数
先発回数が15回、20回、25回、30回、32回となった時点で、それぞれ100万ドル(約1億1300万円)が加算されていく。
満額で500万ドル(約5億6500万円)
要約すると、8年契約が満了する2023年まで、毎年312万5000ドル(約3億5300万円)が保証され、そこに2種類の出来高が、その年の成績によって最高で800万ドル加算される事となり、1年あたりの総額は最高1112万5000ドル(約12億5700万円)まで獲得可能となっています。
この、基本年俸を低く抑えて、出来高契約を増額する契約方法が、前田健太投手が故障した際のチーム側の「金銭的リスク回避を露骨に表した内容だ」と言う事から、今後この様な契約内容が横行しては困ると言う理由で、選手会がかなり反発しました。
また、8年と言う長期契約でありながら、設定金額がずっと一定で、将来的な物価上昇などが考慮されて無い上に、「オプトアウト(途中契約破棄)」も契約に盛り込まれていないなど、口の悪い一部からは「奴隷契約」とまで言われていました。
2016年の年俸総額
そんな異例と言われる内容の契約を交わした前田健太投手。
移籍初年度となった2016年の年俸はどうだったかと言うと、出来高では32回の先発をこなし、投球回が170回を超えたと言う事で、500万ドルと225万ドルの、計725万ドルを獲得。
それを基本年俸の312万5000ドルに加算した合計1037万5000ドル(約11億7200万円)が2016年の年俸総額となりました。
こうして見てみると、出来高が基本年俸の2倍以上になると言う、特異な契約である事が分かりますね。
今年からの新制度とは?
そんな前田健太投手にとっては、2年目となった今シーズンも、年俸総額を増やすためには、昨年同様に「馬車馬」の如く、数多く投げて出来高を増やす事が唯一の方法となります。
ただ、今シーズンからMLBで施行された新制度が、所属チームであるドジャースのチーム事情と相まって、前田健太投手の年俸増額に「待った」を掛ける事になりそうです。
その新制度とは「DL(Disable List)」、つまり「故障者リスト」制度の改革です。
このDL制度とは、25人枠のベンチ入りメンバーに入っている選手の中で、故障や不調を抱えている選手を「DL(故障者リスト)」に入れる事で、一時的にベンチ入りメンバーから外し、その空いた枠に代わりの選手を入れる事ができる制度です。
そして昨年までは、DL入りした選手がベンチ枠に戻る為には最低15日間待たなければいけませんでした。
それが今年から最短日数が10日間に短縮されたのです。
新制度の有効利用方法とは
たった5日間短縮されただけで、何がそんなに変わるのか?と思いますよね。
この5日間の短縮は、特に先発投手にとって、とても意味が大きいものとなりました。
通常メジャーチームは、25人枠のベンチ入りメンバーの中に5人の先発投手を入れて、その5人の先発投手を、毎試合順番に登板させて試合を戦っています。
つまり、1人の先発投手は、一度先発登板をしたら、他の4人の先発投手がそれぞれ試合で投げた後に、また先発登板の順番が回ってきます。
その為、試合が続くときは中4日、移動日などが入った時は中5日でシーズン中の試合を投げ続けます。
それがもし、何かの不調でDLに入ってしまうと、今までは15日間のDL入りの間に、先発の順番を2回飛ばさなければいけませんでしたが、10日間に短縮される事で、先発の順番を1回飛ばすだけでまたベンチ入りに戻る事が可能になり、その間の先発投手のやり繰りも楽になるわけです。
こうなると、ベンチで采配を振るう監督も、不調の先発投手を、今までよりも気軽にDL入りさせる事ができる様になります。
そしてここに、ドジャース独自の事情が絡んできます。
現在ドジャースには健康な先発投手が7人居ます。
かと言って、全員をベンチ入りさせるほど、ベンチ枠に余裕があるわけではありません。
これまでは、誰かが故障を抱えて居た為に問題となることは無かったのですが、現在はその7人がほぼ故障明けとなって居て、豊富な先発陣のやり繰りと言う、贅沢な悩みを抱えています。
そこで、そのやり繰りのために上手く利用されたのが、今回の短縮されたDL制度です。
特に故障が無くても、10日間のDL入りをさせる事で、余っている先発投手を有効に使う事ができる様になりました。
また、プレーオフまでの長いシーズンを考えると、それぞれの先発投手の投球間隔を出来るだけ開ける事で、身体的な負担を減らし、シーズン最後まで調子良く投げてもらえる可能性が高まります。
まさに、ベンチで采配を振るう監督にとっては、いい事尽くめになった新制度と言えます。
前田健太投手の悩みとは?
そして、そんな事情と思われる形で5月11日に前田健太投手が10日間のDL入りとなりました。
表向きには、太ももの張りによる措置とされていますが、実際には他の投手を上手くやり繰りするための措置だったのではないかと言われています。
ところが、このやり繰りは、出来高重視の契約内容となっている前田健太投手には、とても不利な状況になる訳です。
何せ、前田健太投手は、数多く投げないと出来高が増えません。
先ずは先発回数ですが、メジャーのレギュラーシーズンは162試合ですから、5人の先発投手で回すとすると、1人あたり32試合になります。
(※厳密には2試合余りますが)
前田健太投手は、昨年フルの32回先発を達成して、出来高500万ドルを獲得しました。
それが、DL入りして先発が1回飛んでしまうと、もうそこでフルの32回先発を達成出来なくなり、100万ドルの出来高が消えてしまいます。
また、投球回の出来高では、90イニングを超えた時点から、10イニング毎に25万ドルが加算されて行く訳ですが、2016年の前田健太投手は32回先発で175回2/3イニングを投げていて1試合あたり5回1/3を投げています。
と言うことは、昨年の投球回を参考にすると、先発が1回飛んでしまうと下手をしたら170投球回を下回ってしまう可能性もあり、そこでまた25万ドルの出来高が消えてしまいます。
今回の前田健太投手のDL入りにより、先発回数が1回減るだけで、昨年の成績と収入から計算して、すでに125万ドル(約1億4000万円)の出来高が消えてしまう事になります。
そしてこの措置が今回だけで無く、今後も行われるとすると、出来高はもっと減ってしまいそうです。
これは前田健太投手の収入面で考えると、とても痛い事ではないでしょうか。
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まとめ
MLBては、今シーズンからDLの最短期間が15日間から10日間に短縮された。
各チームはこの新制度を上手く利用して、先発投手のやり繰りを行い出した。
前田健太投手も、この新制度を利用して5月11日からDL入した。
年俸面で、投球回数と先発回数の出来高の比率が大きい前田健太投手にとっては、この新制度は、収入を大きく減らす原因となる可能性が高い。
2016年には満額に近い出来高を獲得して、トータルで11億円以上の年俸となった前田健太投手ですが、今年は果たして10億円を超える事が出来るのか疑問です。
こうなると、やはり基本年俸が高い契約の方が良いんですね。
まあ、契約破棄条項の無い、8年契約を結んでしまった前田健太投手ですから、1シーズンの出来高にあまり拘らずに、肩と肘を温存しながら、契約期間を健康で全う出来る事を優先した方が良いのかもしれませんね。
何はともあれ、今シーズンもまだ先は長いですから、前田健太投手の活躍を期待したいところですね。
前田健太投手、頑張ってください、応援してます。
と言う事で今回は、MLBの新制度によって心配される前田健太投手の年俸面についてチェックしてみました。
本日も最後まで読んで頂き有難うございました。