5月14日追記しました。
こんにちはnicoです。
2018年10月1日に右肘の靭帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を行なった大谷翔平選手。
2019年の今シーズンは、二刀流を封印して打者一本での復帰を公言していました。
そしてとうとう試合復帰が予測されていた5月に入り、カウントダウンが始まりました。
最新の予測では5月8日のデトロイト・タイガース戦からの復帰が有力とされていますがどうなるでしょうか。
そして打者一本で勝負する今シーズンの大谷翔平選手は、何かしらの打者タイトルを狙うことができるのでしょうか。
今回はその辺りを予想してみたいと思います。
127試合で出来る事
MLBメジャーリーグの開幕から1ヶ月余り。
右肘手術から順調に回復していると言われている大谷翔平選手は、既にピッチャー相手の「ライブBP(バッティング・プラクティス)」と呼ばれるフリーバッティングも50打席近くこなしており、近々の復帰が現実味を帯びてきています。
大谷翔平選手の所属するロサンゼルス・エンゼルスは日本時間の5月5日時点で2019年シーズンの全試合数162試合の内、34試合を消化しています。
大谷翔平選手が予想通り5月8日に試合復帰するとなると、その時点でチームは35試合消化しており、残りの試合数は127試合となります。
大谷翔平選手はこの残りの試合数の中で、既に開幕から記録を積み上げている他の選手達の記録に、追い付き追い越し、何かタイトルを獲得する事は可能なのでしょうか。
それぞれのタイトルに対して、現時点の他の選手達の記録と共に検証していきたいと思います。
打者として獲得可能なタイトルは?
今シーズン、打者一本で勝負する大谷翔平選手にとって、打者として獲得可能なタイトルには何があるのでしょうか。
先ずは純粋な記録としてのタイトルとしては
・首位打者
・本塁打王
・打点王
・盗塁王
の4つとなります。
その他のタイトルとしては
・最優秀選手賞〈MVP〉
・シルバースラッガー賞
・ハンクアーロン賞
・プレイヤー・オブ・ザ・ウィーク
・プレイヤー・オブ・ザ・マンス
・オールスターゲームMVP
・リーグ優勝決定戦シリーズMVP
・ワールドシリーズMVP
などが挙げられます。
またその他として、正式なタイトルではありませんが、イチローさんの262安打で有名なシーズン最多安打や出塁率、長打率、その二つを足したOPSなども記録として残されています。
首位打者
打者の記録としての4つのタイトル「首位打者」「本塁打王」「打点王」「盗塁王」の中で、唯一単純な記録の積み重ねでは無いモノが、この首位打者になりますね。
今シーズン出遅れた大谷翔平選手にとっても、高打率を維持して行けば、1番獲得の可能性が高いタイトルではないかと思われます。
このタイトルの獲得を狙うにあたってのネックは「規定打席」です。
首位打者のタイトルは、規定打席数に到達している打者の中から選ばれるので、いくら高い打率を記録したとしても規定打席数に達していなければタイトルの対象外となってしまいます。
では規定打席数とは何で、何打席必要となるのでしょうか。
規定打席数とは、打者として1シーズンを通して起用されたか否かの基準となっている数です。
現在の規定打席数は、所属チームの1シーズンの試合数に3.1を掛けた数が規定打席数となっています。
MLBで言えば、今シーズンの試合数は162試合なので「162×3.1=502.2」となり、502打席が規定打席数となります。
極端な例を言えば、1年通して502打席で165本のヒットを打ち、3割3分の打率をマークした選手と、僅か2打席で1本のヒットを打ち5割の打率をマークした選手では、その価値は全然違いますね。
そんな訳で、大谷翔平選手がこのタイトルを狙うためには、最低でもこれからの残り127試合で502打席に立たなければなりません。
1試合平均で考えると3.95となり、残り全試合で1試合平均4打席づつバッターボックスに立たないと規定打席に到達出来ません。
その上で大谷翔平選手の所属するアメリカン・リーグで、最高の打率をマークする事が求められます。
今シーズン、5月5日時点での首位打者は、ロサンゼルス・ドジャース(ナショナル・リーグ)のコディ・ベリンジャー選手の.415となっていますが、これは余りにも異常な高数値で、いずれ打率も落ち着いてくると思われます。
過去2年のアメリカンリーグの首位打者の打率は.346となっています。
これを502打席で達成するには174本のヒットを打つことが求められます。
ただ実際には502打席の中には、四球や死球、犠牲フライなど、打率計算の対象外となる打席も一定数あると思われるので、大体160本プラスアルファのヒットを打てばその打率に到達するのではないかと思われます。
本塁打王
本塁打王は、地道に1本づつ記録を積み重ねていくタイトルなので、これはスタートが出遅れた大谷翔平選手にとっては大変不利な立場と言わざるを得ません。
現時点での本塁打トップは、打率と同じドジャースのコディ・ベリンジャー選手とミルウォーキー・ブリュワーズのクリスチャン・イエリッチ選手の2名が記録している14本です。
特にイエリッチ選手は、僅か30試合103打席で14本を記録しており、このペースで行くとシーズン75本を記録する驚異のペースでホームランを打っています。
流石にこのペースが1シーズン通して続くとは思えませんが、過去20年の本塁打王の最多記録は、ジャンカルロ・スタントン選手の59本となっていますので、その辺りまでは考えておいて良いのではないかと思われます。
大谷翔平選手が127試合で59本を打つためには2.1試合に1本の割合でホームランを打ち続ける必要があります。
これはちょっと現実離れした厳しいペースかと思われますね。
5月14日追記:遂に大谷翔平選手に今シーズン第1号ホームランが生まれました!
これから量産を期待したいですね!
SAYONARA! #ShoTime pic.twitter.com/pGUwzeTUd7
— Los Angeles Angels (@Angels) May 14, 2019
打点王
打点王も、本塁打王と同じくコツコツと積み上げて行く記録なので、35試合も出遅れた大谷翔平選手にとってはかなり厳しいタイトルかと思われます。
打点に関しても、現時点でトップを走っているのは、打率や本塁打でもトップを走っている、ロサンゼルス・ドジャースのコディ・ベリンジャー選手で38点となっています。
そしてこの記録は、打席に入った時に、他の選手が出塁してくれている事が打点を稼ぐ大きな条件となりますので、個人の打力と共にチームとしての出塁率も記録に大きく影響してきます。
復帰するにあたって、現在、大谷翔平選手は1番打者を任されるとの噂が立っていますが、そうなると走者を帰すというよりも、自身が出塁して、後ろのマイク・トラウト選手などに帰してもらう役割が多くなると思われ、打点を稼ぐのには不利な立場になってしまうかもしれませんね。
5月14日追記:打者復帰後の大谷翔平選手は、3番で起用されて行くみたいですね。
打点王タイトル獲得に不利な立場は変わりはありませんが、当初の予想よりも打点は増えそうですね。
盗塁王
盗塁王も足の速い大谷翔平選手にとっては期待できるタイトルかと思われますが、こちらもやはりコツコツと記録を重ねて行くタイトルなので、35試合出遅れた大谷翔平選手にとってはかなり不利な状態からの挑戦となりますね。
現時点での最多盗塁は、シカゴ・ホワイトソックスのティム・アンダーソン選手とカンザスシティ・ロイヤルズのアダルバート・モンデシー選手の10盗塁となっています。
28試合で10盗塁のティム・アンダーソン選手のペースでは、162試合では57盗塁まで到達する計算になります。
ここ数年、ナショナルリーグで当時マイアミ・マーリンズに所属していたディー・ゴードン選手が過去3回にわたって60盗塁以上を記録してタイトルを取っていますので、57盗塁も無理な数ではなさそうです。
アメリカンリーグはナショナルリーグに比べて盗塁王となった盗塁数が少ない傾向ですが、2014年にはヒューストン・アストロズのホセ・アルトゥーベ選手が56盗塁でタイトルを獲得しているので、やはり50本近くは盗塁数を稼がないとタイトル争いに加わるのは厳しいかと思われます。
昨シーズンの大谷翔平選手は、104試合で10盗塁でした。
投手と打者との二刀流の選手としては驚異的な数字として讃えられましたが、打者一本の選手として考えると10盗塁という数は、厳しい言い方になりますが、タイトルを狙うには程遠い数と言っていいかもしれません。
MVPその他の各賞
その他で挙げた、MVPをはじめとする各賞は、純粋な記録の賞と言うよりは、その時に選考者に強烈な好印象を与える事が必要になるものと思われます。
その点は既にスーパースターの一人として認識されている大谷翔平選手には不利な点は無いかと思われます。
ただ、オールスターMVPやリーグチャンピオンシップ決定戦MVP、ワールドシリーズMVPなどは、先ずはそこに出場出来ないことには始まらないタイトルなので、そこは大谷翔平選手の力だけではどうにもなら無い力も必要となるので、今から予想を立てるのは困難かと思われます。
「シルバースラッガー賞」と「ハンクアーロン賞」は、シーズン終了後に選考者の投票によって決められるタイトルとなる為、純粋な記録だけでは無く、印象の強さも選考の基準となると思われるので、この二つのタイトルを獲得可能性も少なくは無いのではないかと思われます。
シルバースラッガー賞は「そのシーズンで最も打撃に優れていた選手」という名目で、全30球団の監督・コーチの投票で選考されます。
そしてこの賞の特徴が「各ポジションごとに1人づつ選考される(外野手は守備位置に関係なく3人)」という事です。
今シーズンは「DH(指名打者)」で出場し続けると考えられている大谷翔平選手にとっては、アメリカンリーグ15球団の指名打者の中で、1番印象的なシーズンを過ごせば、タイトル獲得の確率は結構高いと考えられます。
ハンクアーロン賞は、各リーグ1名づつの選考となるので、シルバースラッガー賞よりは選考される難易度は上がると考えられます。
ただこちらの賞の特徴は「ファン投票」によって選考されるという点です。
具体的な選考システムとしては、先ず全30球団からそれぞれ3名の選手が候補者として選ばれ、そこからファン投票によって各チーム1人、全球団合計30人に絞られます。
そしてそこから再びファン投票が行われ、各リーグ1名づつの受賞者が最終決定されます。
先ずは、最初の段階の「各球団からの3人」に選ばれる必要が有りますが、その後は完全にファン投票のみで選出されるこの賞も、活躍の印象次第では、純粋な記録とは別次元で獲得できる可能性は大いに有るのではないでしょうか。
その他の打撃記録
イチローさんの262本と言う偉大な記録が光る「シーズン最多安打数」の記録。
過去20年に渡って、アメリカンリーグでは、2013年と2018年を除いて、最多安打は全て200本以上の記録となっています。
大谷翔平選手が少なくとも502打席で200本を打つとなると、.398の高打率を記録する事が必要になり、これは現実的では無いかもしれません。
この辺りは開幕から出遅れた手術の影響が大きくのし掛かってきますね。
それと比べると、やはり規定打席数到達の前提条件はありますが、出塁率や長打率、その二つを足したOPSなどはまだ可能性が高そうですね。
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まとめ
試合復帰の活躍が期待される大谷翔平選手ですが、改めて検証してみると、やはり打者としてのタイトルを狙うのはかなり厳しい状態でのスタートになりそうです。
その中で狙える可能性があるのは、首位打者や出塁率・長打率・OPSなど、記録の積み重ねでは無く、割合を求めるタイトルに関しては、まだまだ可能性が有りそうです。
それには最低条件の「規定打席数」である「シーズン502打席」をクリアする事が大前提となります。
残り127試合で、1試合平均4打席に立ち続ける事でそれらのタイトルに挑戦する権利が生まれます。
ただ大谷翔平選手にとって何よりも大事なのは、来シーズンの投手復帰に向けて、今シーズンを怪我無く過ごしながら、投手として耐えられる様に右肘を回復させる事です。
そう考えると、これまでの検証が無駄になってしまいますが、今シーズンも昨シーズンと同じ様に「記録よりも記憶に残るプレー」で、「プレイヤーオブ・ザ・ウィーク」「プレイヤー・オブ・ザ・マンス」やポジション別に選考される「シルバースラッガー賞」、ファン投票の「ハンクアーロン賞」等が獲得可能性の高いタイトルなのではないかと思われます。
何はともあれ大谷翔平選手の復活が待ち遠しいですね。
今シーズンも活躍を期待しています。
本日も最後まで読んでいただき有難うございました。